プロフェッショナルファームの働き方:スタッフアサイン制について
こんにちは。
今年の有給付与のタイミングで長いこと務めたプロフェッショナルファームからヌルイ事業会社に転職して、2ヶ月くらいの超大型連休を作ろうと考えております。
事業会社に移れば今と大分違う労働環境になるでしょうから、記録としてプロフェッショナルファームの内部からみたあれやこれやを備忘として記事化していこうかと思います。
自分が何年か後に振り返って、そういえばこんな環境だったなぁ、と思うために書いていることでもありますが、事業会社から、あるいは大学院やビジネススクールを卒業してプロフェッショナルファームに入る事を考えている人の参考にもなればいいなと思います。
第1回目は働き方の基本的フレームワークである「スタッフアサイン制」について書こうと思います。
スタッフアサイン制とは
スタッフアサイン制とは、プロジェクト毎にメンバーをアサイン(割り当て)する制度のことです。一見、それ当たり前じゃね?となりそうですが、プロフェッショナルファームの仕事はピュアにプロジェクト単位で構成されています。
個々のプロジェクトは2週間で終わるような短期のものから、半年以上継続して行われる超長期のものまでクライアントの要望に応じて多岐にわたりますが、基本的には個別に契約を取り付けてサービスの開始時期と終了時期が決められています。
一つのプロジェクトが立ち上がると、サービスの終了時期までの間、手を動かす要員を確保することが、プロジェクトマネージャーにとってまず必要となる訳です。
問題は、その要因をどのように確保するのが効率的か、という点です。
前述の通りプロジェクトはそれぞれ独立しており、期間も(あと難易度も)もまちまちであるため、必要となる人員は非常に流動的になります。
このような状況下で柔軟に対応するために、最下層にいるジュニア・シニアスタッフ達の所属を流動化し、人員が入用になった際にアサイン可能な(アベイラブルな)スタッフを割り当てるという構造が必要となるわけです。
具体的には全スタッフの向こう3カ月くらいのアサイン状況が分かるエクセル(アサイン表といいます)が共有されており、新規のプロジェクトが立ち上がったら、プロジェクトマネージャーが人員の空き状況を確認して、スタッフを確保する、という仕組みです。
オフィスの中も基本フリーアドレス(どこに座っても良い)で、プロジェクトチーム毎に好きな場所で固まってカチャカチャ仕事をする、といった具合です。もちろんプロジェクトにアサインされていないスタッフはオフィスにいなくても全然バレませんので、突然の呼び出しにさえ気を付けていれば何をしててもお咎めなしです。
ディテールには多少の差異があるかもしれないですが、同じ様な収益構造になっているプロフェッショナルファームでは基本的に同じシステムが採用されていると理解しております。
特定の配属部署があり、部署の構成員が固定的な事業会社からプロフェッショナルファームに移ってきた人にとっては、まず最初にカルチャーショックを受ける仕組みなのではないでしょうか。
スタッフアサイン制の功罪
さて、このような仕組みが導入されている背景としては、個々のプロジェクトにより必要となる人員数および期間が非常に流動的にであることは前述した通りです。
効率的な仕組みであり、スタッフも繁忙期を除けば伸び伸びできます。
一方で、アサイン表が共有されているといった点で、人気のあるスタッフとそうでないスタッフが即分かってしまうという側面もあります。
プロジェクトマネージャーも人間です。
一度一緒に案件をやってみて具合の良いスタッフはまた使いたいと思うのは人情ですよね?逆にアサインしたスタッフが虫レベルのクソだった場合、二度と使いたいと思いませんよね?
このようにして、案件を二個、三個とこなしていくうちに、蓄積される評価・信用が非常に見えやすい形で整理されているのがアサイン表な訳です。
ガンガン稼いでるプロマネに気に入られてしまうともう目も当てられませんね。連続アサイン・多重アサインを入れられ馬車馬のごとく働かされることになります。私自身、この典型に嵌ってしまった時期があります。電車で帰るとサボってると言われ、有給を取るために前日徹夜を強いられるというような状況です。
一方で、クソ虫セグメントに陥ってしまうと何が起こるかというと、誰もアサインしてくれなくなるんですよね。せっかく意を決してプロフェッショナルファームに入ったのに誰も仕事をくれない。毎日全体メールの整理とインターネットサーフィンしかやることがなくなるわけです。夢のような生活に聞こえますが、毎日続くととても苦痛です。私の先輩で大きな失敗をしでかしてこのセグメントに陥った人がおりましたが、反省の意を示すために頭を丸めたのに誰も顧みませんでした。
アベりまくりな毎日が一月も続くとなんとか状況を打開しようとオフィス中のごみ箱をキレイにしてましたが、クソ虫以上の存在を示すには至りませんでした。症状が悪化してエレベーターホールでボタン押しをやり始めた時点で人事部付となり、闇の中へ消えて行ってしまいました。
頑張りすぎると案件が入れ食い状態となるので年中繁忙期、逆に使えないと誰も拾ってくれずに年中暇チンとなって発狂しちゃうシステム、それがスタッフアサイン制ということですね。
とはいえ、正社員はなかなか首にならないという日本の労働環境を逆手にとって居座る胆力があれば天国の様な環境かもしれません。
それではまた。
Bitcoinを用いた壮大な社会実験:Pale Blue FoundationとJonathan Wheelerについて
みなさんこんにちは。
少し前にアメリカの大手暗号通貨メディアであるCoin deskにビットコインを使ってベネズエラのハイパーインフレを解決しようとしているJonathan Wheelerに関する大変興味深い記事が掲載されておりました。
ベネズエラのハイパーインフレについては以前の記事で少し触れたこともありますし、せっかくなのでJonathan Wheelerと彼のプロジェクトであるPale Blue Foundationについて今日はご紹介したいと思います。
Jonathan Wheelerって誰?
Jonathan Wheelerはニューヨーク在住のエンジニアで、2011年(まだBTC/円は500円前後をウロウロしていた頃です)からビットコインにどハマりしているガチギークです。
スタンフォード大学の院でコンピュータサイエンス修士を取得しており、2014年から2018年2月までゴールドマンサックスでブロックチェーン関連プロジェクトをリードしていたキャリアを持っていますが、後述するベネズエラでのビットコイン普及プロジェクトに専念するため、2018年2月に当社を退職しております。
何がしたいのか?
彼のプロジェクトにおける目的はハイパーインフレによって経済基盤が崩壊したことによって生活が困窮しているベネズエラ市民を、ビットコインを使って救済しようというものです。
具体的な方法論は詳細に明かされてはおりませんが、大枠として①300百万ドル(330億円)相当のビットコインを調達し、②ベネズエラ市民にエアドロップするという計画を示しています。
詳細は以下のMediumの記事に詳しく記載されています↓
ベネズエラの状況はどれくらいひどいのか?
ハイパーインフレによってベネズエラ市民の生活基盤がどの程度毀損されているか、端的に知るには先日ロイターに掲載されていた以下の記事が分かりやすいのかと思います。
貨幣経済が機能しておらず、物々交換を強いられる市民が多く存在するという主旨の内容です。
またこちらの記事では深刻なインフレにより食料輸入がままならない状況にあり、国民の90%が貧困に陥っているという内容が記載されています。(2018年2月の記事ですが、状況は悪化こそすれ、まず良くなってはいないでしょうね。。。)
Pale Blue Foundationとは
先ほどのMediumの記事の中で” We also intend to establish a non-profit foundation and evergreen fund to enable the execution of similar large-scale future operations.”と、書かれておりますが、彼のプロジェクトを実行に移すために Morgan Crena氏と共に設立した団体がPale Blue Foundationとなります。
( Morgan Crena氏は検索してもパッと詳細な情報が出てきませんでした)
現在は15名在籍しており、計画実行のためにAzulというアプリを鋭意開発しているとのことです。
資金調達の面では既に著名なビットコイナーからの支持は得ている一方で、一部VCからは資金調達はICOをした方が良いという指摘も受けている模様です。
とはいえ彼らの中ではビットコインの持つ堅牢性に非常に重きを置いており、ビットコインで実効する姿勢を見せております。
BigstoneのVoicyで先日預金封鎖の際の安全資産について論じておりますが、こういう危機の時にやはり最大のバリューを発揮することができるのではないでしょうか。
最後に非常に印象に残った彼の言葉を引用したいと思います。
”Every Bitcoiner I’ve spoken to has indicated that they would be happy to donate 1% of their holdings for the cause, knowing that if the mission is successful, that this will likely increase the value of the remaining 99% of their holdings, due to a massive uptick in real-world utility and attention, and thus demand. Will we be successful? Let’s try it and find out. There’s little to lose, and much to be gained.”
ビットコインを始めとした 暗号通貨で得た財産というのは非常に手離れが良く事業をする側からすれば魅力的な資金源となりますし、テクノロジーの側面からも従前(暗号通貨以前)は考える事ができなかった角度からのアプローチも可能になると思います。
このプロジェクトはビットコインが社会にもたらす可能性を探る試金石でもあり、今後も引き続きウォッチし続けていきたいと思います。
スペシャリティコーヒーをちゃんと定義しよう
2017年の話になってしまいますが、日本で初めてのスペシャルティコーヒーが沖縄県の国頭村安田から誕生したという話を先日知りました。
沖縄に移住し、パパイヤ栽培を営んでいた徳田さんご夫妻が、10年前からコーヒー栽培に取り組み始め、2017年についにスペシャルティコーヒーとして認められたという事です。
情報が少々古い!という点はさておき、国内で新しく誕生したというニュースを目の当たりにし、改めてスペシャルティコーヒーとはなんなのか?という疑問がフツフツ沸いて来ました。
スペシャルティコーヒーってそもそも何?
スペシャルティコーヒーというと、知らない人はいないというくらい巷ではよく聞く言葉となっていますが、とにかく味も素晴らしく生産者から消費者までみんなハッピーでスペシャルなコーヒなんだろうな、ということ以上の事を知っている、具体的な定義について語れる人というのは案外少ないのではないでしょうか。
特に消費者からすると、最も気になるポイントは豆の品質および味に関してであり、そこを知らずして「やっぱりコーヒーってのはスペシャルティですよねぇ」っていうのは少し恰好が付かないですよね。
ということで原文サイトに当たって調べて見ました。今日はそこの点について整理してみたいと思います。
SCAとスペシャルティコーヒー認定の枠組み
まず、認定される、という事はどういう事でしょうか?一体誰に、どういう基準で?と、改めて考えると「?」がたくさん浮かんできますね。
スペシャルティコーヒーという概念自体は、1978年に行われたフランスのコーヒー国際議会において、当時大量生産品が市場を席巻していた中、「特別な地理的環境が生み出す微小気候(マイクロクライメット)がもたらす、特徴的な風味特性を持った新しいカテゴリーのコーヒー」が提唱されたことに端を発する様です。
現在のコーヒー実務においてはSCA (Speciality coffee association) という団体の設ける種々の評価基準をクリアしたコーヒーに付される最高グレードとなります。
それでは具体的にどのような基準で選ばれているのでしょうか。評価のフレームワークとしては、生豆の評価から品質評価、また評価方法のベストプラクティスまで広範な分野について細かく纏められております。
品質評価の枠組み
SCAの品質審査基準(Cupping protocolという形で纏められております)では、Aroma、 Flavor、 Aftertaste、 Acidity、Body、Balance、Uniformity、Clean Cup、Sweetness、および Overallの10項目に分かれて、各項目について点数をつけ(最高10点)、合計が80点以上となる豆についてをスペシャルティグレードと定義しております。(各評価項目の詳細はこちらをご参照)
この審査基準に従い審査を行う人はLicensed Q Graderと呼ばれるCQI(Coffee Quality Institute)という品質協会からの認定を受けた鑑定士により行われます。
コーヒーの各生産国には概ねCQIの協力機関(ICP : in-country partnerと呼ばれます)が存在しており、通常生産国ではこのICPに在籍しているLicensed Q Graderが審査を行っておりますが、ICPの存在しない国においては、サンプルを近隣国のICPに送りそちらで審査を行うという実務が行われている様です。
冒頭に出てきた安田コーヒーさんが審査を申し込んだ時点では日本国内にICPは存在していなかったため、韓国にて審査が行われた模様です。
ちなみに現在日本国内ではJapan Coffee ExchangeがICP認定を受けている模様です↓
余談となりますが、CQIにはデータベースHP というものがあり、2010年以降に認定を受けたスペシャルティコーヒーはその審査結果について一般人でも調べることができるようになっております。
気になる人は調べて見ても面白いと思います。
(今回冒頭に出てる安田コーヒーさんの審査結果はこちら。)
色々と書き連ねてみましたが、コーヒー評価はかなり強固な体系が築き上げられていることが垣間見えるかと思います。さすが、世界で最も愛されている嗜好品の一つなだけありますね。
各国のSpecialty coffee association
上述のSCAは、SCAA(Speciality coffee association of America)とSCAE (Speciality coffee association of Europe)が17年1月に統合されて出来た組織となります。また、品質評価の枠組みというのはSCAAが中心となって確立した体系であると理解しております。
Specialty coffee association of XX(XXに国名)という組織は世界各国にあるみたいですが、これらは同一の組織ではなく、それぞれ独立している模様ですね。
そのためかどうか知りませんが、SCAJのHPではスペシャルティコーヒーの定義はSCAJが独自で定義している体で記載されてるようにも読め、一読してもなんだかフワッとした印象で謎なポエムを読んだかの様な後味を覚えます。
あと、色々な会社がスペシャルティコーヒーを独自定義していたりもしますが、これもスペシャルティコーヒーの概念を掴みどころがないものにしていると個人的には思います。
スペシャルティコーヒーの定義を他人にドヤるときはちゃんとSCA本家の定義がしっかりとある、ということを念頭に置いてドヤりましょうね。
それではまた。
SPI3の問題文を実務との比較の観点から考えてみる
先日友人の会社に来ないかという誘いがあり、条件も悪くなかったので承諾したら、SPI3を受験させられました。
当初SPIは新卒採用時にしか受けさせないものだと思っておりましたので、SPIを受けろと言われたときは「WTF????」と思いました。
私は所謂プロフェッショナルファームと呼ばれる業態で働いて8年目になります。業界のターンオーバーが早いという特性上、転職も3回してますが、SPIを受けろなんて言われたことは初めてですので、大変驚きました。
中途採用向けSPIという商品
ところが落ち着いてリクルートのSPIホームページを見てみると「中途採用向け」という商品があるではありませんか↓
それまでのキャリアや携わってきた案件だけでなく、こういう定量的な試験を受けさせる世界もあるのだなぁと、自分の視野の狭さを深く反省した次第です。
社会人になってから解くととても難しい
さて、キャリアを積んだ社会人にとって、SPIはどういう難易度になるのでしょうか?
正直私は新卒就職活動をしてるときはSPIは大得意でした。難易度の高いとされる会社を受けるときは大体受けさせられましたが、落ちたことはありません。
簡単すぎて足切りにもならないでしょ、と、心の底から思ったものです。
ところが、実際に今受けてみると、これがびっくりするほど難しいんですよね、、、
ネットに落ちてるサンプル問題を解いてみたところ全然解けなかったので、焦って問題集を買って仕事終わりに2日ほど勉強してみたのですが、全く解けるようになりませんでした。
実務ではSPIとかで測られる能力網羅的に使うわけないから、転職で受ける必要が生じたらちゃんと勉強した方が良いです。。。https://t.co/YCBFI5fjZd
— Mukebeja (@Mukebeja) 2018年6月23日
特に非言語分野(算数)は時間が足りないし、そもそも解き方とか検討もつかない状況。一方で言語分野(国語)の方は特段問題なくスラスラ解け時間もかなり余りました。
テストの結果は惨憺たるもので、これは落とされてもしょうがないな、という諦めと同時に無駄なことさせやがってという怒りがフツフツと沸いてくるものですね。
非言語分野の瞬発力って実務で使わなくね?
それはさておき、言語分野と非言語分野の対照的な出来というのは個人的にとても興味深い結果でした。
当然ながらヒトの脳というのは加齢とともに能力が劣化する様に出来ておりますが、普段から使っている能力というのは劣化速度は遅くなる、あるいは向上すらするものだと考えております。
係る視座からテスト結果を解釈すると、今回の私のテスト結果は「言語分野は実務で鍛えられるものの、非言語分野はあまり鍛えられていない」という事が示唆されます。
ただ、今の仕事では専ら財務分析を行っているので、数字はかなり良く使うはずなんですよね。数値を並べてそこの数値が表す事象はどういうものなのか、という事をレポートになるだけ分かり易く纏めてお客さんに出す、という仕事をひたすら繰り返しております。
なぜSPIの問題が解けなかったのか考えてみたところ、主な理由は以下の2つなのではないかと思います。
①問題文の構成は、実務で触れる文章や資料と比較すると超分かりにくい
問題文というのは、回答者に頭を使わせるという性質を持つため、表現は回りくどく、そして情報は網羅的に整理されておりません。一方で、お客さんに出すレポートというのは分かり易くないと意味がありません。入社したての新入りには「サルが読んでも分かるように書け」、と何度も指導します。お客さんに文章を読ませるときに頭を使わせると、レポートを作成する側としては負けなのです。
なので、SPIの問題のような不完全な文章を作るというのは強烈にNGな行為で、そのような文章を作る側も、また資料として出されて許容する側もバカだと思われます。
斯様に、文章の性質が正反対のものを日常的に取り扱っているため、問題を解くどころか書いてる内容が頭に入ってこないという現象が起こります。
②実務では1分1秒を争って計算しない
問題を解く上では、問題文に散らばってる情報から回答を得るために必要な材料を何個か計算する必要があります。制限時間内に。
もちろん財務分析の実務では同じ様に基礎となる数値を色々とこねくり回して分析を行います。ただし、その後の分析の出発点となる大事な出発点となることから、数値は相当に慎重に計算します。スプレッドシートに諸前提を丁寧に並べて第三者が簡単に内容をレビューできるように正確さを重視します。間違ってたら分析結果が崩れますからね。
数値に責任を持つという意味でも、間違っても紙に走り書きした、あるいは暗算して出した数値なんか使いません。ミスのもとです。そんなことやってるやつがいたら速攻でチームから追放です。
以上2点より、SPIで測られる非言語分野の瞬発力は実務ではぶっちゃけ使わないんじゃないだろうか、という結論に至りました。
まあ確率の問題とか組み合わせとか中学校や高校で習う範囲の生活に役立つ数学知識は問われるので、その点については良いかもしれませんね。
とはいえ、条件の良いオファーを試験で落ちるとかつまらないので、準備は侮らずにしっかりとやった方が身のためですね。
それではまた。
暗号通貨と他のアセットクラスのコリレーション:とりあえずビットコ買っとこ
前回に引き続きブルームバーグの暗号通貨の記事で大変面白いものを見つけました。一カ月前のものですが、内容がとても良いのでそちらのご紹介をします。
暗号通貨を他のアセットクラスと比較してみた、という記事です。
記事の内容としては、暗号通貨はやっぱりハイボラティリティなアセットですねぇ、市場規模(取引量・時価総額)も株式と比べて特定銘柄に偏ってますねぇ、と、どこかで聞いたような内容が続きますが、「How Assets Affect Each Other」の項目は注目に値すると感じた次第です。
この項目には暗号通貨・法定通貨・コモディティ・株式・債券の5つのアセットクラスのコリレーションヒートマップが掲載されています。
こんな感じのマップです↓
上のヒートマップでは、軸の一つの目盛りが個別のアセット(BTCとか円とか金とか国債とか)を表しており、縦軸のアセットと横軸のアセットの交点がそれぞれのアセット同士(BTCとDow Jonesとか)のコリレーションを表してます。(青が濃ければ相関係数が1に近く、赤が濃ければ-1に近いという作り)
リンク先だとカーソルを合わせるとグリグリ動くのでとてもinformativeな作りになってますので、是非試してみてください!
全体的に株式などのレガシーアセット(記事中ではestablished asset classesと書いていますが)との計量的な比較がちゃんとなされているところがさすがブルームバーグといった感想ですね。
このヒートマップを見ると、暗号通貨は他のアセットとの相関がやはり低そうである、という事が直感的に見て取れますね。(とはいえ色の差なので気のせいだ!と言われるとそんな気もしてくるので、やっぱりバックデータで数値の比較はしてみたいですが)
このコリレーションの特徴については、Market Hackの広瀬隆雄氏が以前こちらのVoicyで指摘されておりますが、他のアセットクラス(株式・債券・ゴールド等)とのコリレーションが低いということは、分散が効いたポートフォリオの構築に非常に良い材料であり、機関投資家にとって極めて魅力的な存在であるということです。
詳しくはこちら↓
ブルームバーグの記事中では、上述のコリレーションの特徴は機関投資が増えるにつれ、変わる可能性があるとの指摘を行っております。
まあ、これはこれでもっともな指摘ではあるものの、そのような変化が生じるにはまず機関投資家の運用資産が一定以上の規模で流入することが前提な訳です。
PwCの調査によると、2016年のAWM(Asset Wealth Management:ヘッジファンド等は除く)業界の運用資産高は84.9兆ドルに対して、暗号通貨の時価総額は本日時点で0.28兆ドルとなっており、数値上の比較では未だ0.3%程度です。
運用資産高の1%でも8,500億ドルとなり、暗号通貨全体の時価総額の約4倍の金額となります。また、既に暗号通貨市場に少しずつプレゼンスを出し始めているヘッジファンドの同時点における業界規模は約3.3兆ドル(機関投資家運用資産高の1/25)ですので、機関投資家の規模は文字通り桁違いのスケールとなります。
機関投資家にとって投資適格アセットとみなされるにはまだまだ市場は未整備であるとはいえ、機関投資家の市場参入のインパクトは未曾有のものであるということです。(運用資産高は市場が整備されつつある今この時点でも年6%くらいで成長しているこも忘れずに)こうして数値を並べるだけでも、来るべき日に備え、コツコツとポジションを積み上げる価値は十分にあるのかと改めて感じます。
まあ、現物投資だけでこんだけアップサイドが見えるんだったらやらない手はないですよね。とりあえずビットコ買っとけってことです。どっちみちダウンサイドはレバかけなければ限定的なんだし。
それではまた。
Bloomberg Misery Index 2018(経済不快指数2018)
少し前の記事でしたが、今日ブルームバーグのツイッターで流れて来た2018年度のMisery Indexの記事が興味深かったのでご紹介します。
Misery Index(日本語では経済不快指数)とはインフレ率に失業率を加味した指数の事です。
失業者が多く経済が停滞する一方でインフレが生じるというのはスタグフレーションそのものですね。本記事はブルームバーグが行った2018年の調査に関してです。
圧倒的に首位を独走しているのはMisery valueが1,872のベネゼエラで、2位の南アフリカ(33.1)と比べなんと57倍!という結果になってます。
失業率はどう頑張っても100%以上は行かないのでハイパーインフレーションによる独走ということになります。
しかし1,800%超というインフレ率はとてつもない数値ですね。物価が1年間で18倍になるなんてまともな経済活動は維持できません。
そりゃ暗号通貨にもリアルに需要が出ますし、殺人件数だって跳ね上がりますよねって話です。(そういえばPetroっていう暗号通貨のICOやってましたね。。。)
これもまたブルームバーグの調査なのですが、彼らはベネズエラにおいてCAFÉ CON LECHE INDEXというパンチの効いた調査を行っております(ベネズエラではインフレ率を公開していないので、それなら自分たちで指数を作りますわ、という趣旨で行ってる模様):
この指数はCAFÉ CON LECHE(カフェオレのことです)の価格推移をリアルタイムで追ってるものですが、直近12カ月の指数は23,813%となっておりますね。
いやー半端ない、1年間で238倍ですか、、、、
こういうハイパーインフレ―ション下での経済活動はどう回っているのか、とても興味深いところではありますが、治安も悪いし地球の裏側だしということで、直接現地に見に行きたくはないですね。
日本においていずれ来る日のためにも、ベネズエラでの状況が落ち着いて内容の濃いハイパーインフレ関連の調査報告などが出てきたら、熟読玩味してイメトレしておきたいと思いました。
さて、Misery Indexの最下位の方(この評価軸で言うと経済が一番安定しているということですね)を見るとタイ(Misery value は2.5)が下から数えて1位、次いでシンガポール(3.2)、日本(3.6)という結果ですね。
日本は低インフレ・低失業率なので相当に上位に来るとは思ってましたが、タイとシンガポールがさらに上位というのは想定外でした。
タイって失業率そんなに低いのかな??とか思ったりもしますが、、
また、記事にも書いてますが失業率が低いことは一概に良いとは言えないですよね。経済の空き枠が無く雇用が硬直しているということでもありますし。
その意味でイケイケ経済のイメージが強かったシンガポールの低い失業率(2018年は2.1%と日本よりも低い)もとても意外でした。
なんともとりとめのない内容となってしまいましたが、こういう指数は大局を見るにはまあ便利ではありますね。どういう地域が不安定なのか、逆に安定・硬直しているのか、というのが直感的に把握できるという意味ではとても便利だと思います。
分散投資をする先を見る上でも、こういうマクロな指標を見て対象先を絞る入り口には使えるのではないでしょうか。
それではまた。
外国語を子供と一緒に勉強し始めたというおはなし
こんにちは、今日はやることがなくてとてもとても暇なので仕事する振りをしながらブログでも書こうと思います。
やっぱり覗き見防止フィルターをつけることがデフォルトの職場だとこういうことができるからいいですよね。
今日のお題は、フランス語を子供と一緒に勉強し始めましたよ、というお話です。
特にフランス語にこだわってるわけではなく、子供と一緒に、というところが強調したいところなので「外国語」という題にしてます。
ちなみに僕は海外育ち(東南アジアですが)なので英語はできます。どれくらいできるかというと頭の中で伝えたいことを英語で考えてスペイン語に直訳して話せるくらいです。なので、スペイン語もちょっとできます。
スペイン語はNotes in spanishというイギリス人のオジサンがやってるpod castで大体勉強しました。あとは、中米を旅行した時にマジで英語が全く通じなくて、現地で死ぬ気で勉強(あとグアテマラのアティトラン湖のほとりにあるヒッピータウンで2週間スペイン語学校に通いました)したので、話せるようになりました。(英語直訳のその場しのぎですが)
この時に、ラテン語圏の言葉を勉強すると英語を違った側面から見ることが出来ることが分かりとても面白かったので、他の言語も勉強したいなあとボンヤリと考えておりましたが、働き始めてから英語以外の外国語は別に使わないということもあり、語学学習自体サボっておりました。
そんな中、週刊金融日記でGabriel Wyner氏のFluent Foreverが紹介されていたのを読んで、語学学習の意欲がメラメラと再燃してきたことが再開したきっかけでした。
本はこれ↓
Fluent Forever: How to Learn Any Language Fast and Never Forget It
- 作者: Gabriel Wyner
- 出版社/メーカー: Harmony
- 発売日: 2014/08/05
- メディア: ペーパーバック
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作者はTEDスピーチもやってます↓
Why We Struggle Learning Languages | Gabriel Wyner | TEDxNewBedford
本の内容についてはまた今度詳しく書こうと思いますが、この本の何が刺さったかというと、「語学学習は子供の特権ではない」という主張です。
子供が語学を覚えるには何千時間もかけて膨大なインプット(しかも大人がつきっきりでcomprehensibleなインプットを行う)をしているためであり、大人の場合、やり方によってははるかに効率よく学習することが出来るとのことです。
これが目から鱗が落ちる程にぶっ刺さってモチベーションがガチ上がりしたので、いっちょやってみっか!ということになり、そして、どうせやるなら子供(2歳 日本語・英語ちゃんぽんで育ててるのでぶっちゃけ日本語アヤシイ)も巻き込んでやってみっか!ということで外国語学習を再開したという次第です。
ちなみになぜフランス語かというと僕はフランスワインが好きだからです。
余談ですが、僕は子供向けの語学塾みたいなものをとても疑問視してます。同じくらいのレベルの日本人の子供を集めて皆で一緒に英語でレッスン!なんてうまく行かないでしょ、ということを直感的に感じています。
同質な集団でお勉強すると周りのレベルに同調するという変な癖もついてしまうので絶対に入れたくないと考えています。
まあ、親が話せないけどとりあえずレッスンにブッこめばペラになるっしょ、なんて虫が良すぎるでしょ、もっと親も汗をかきなよ。ということですね。
閑話休題。
語学学習というと参考書と語学学校が主な方法だと思いますが、僕はFluent foreverと金融日記で紹介されているSRS(Spaced Repetition System)でチャレンジすることにしました。使う教材はFluenUです。(SRS frenchでググったら一番上に出てきたからです。使い勝手についてはまた今度。)
こういうアプリを使うと画像付きのフラッシュカードとネイティブの音声がメインになるので直感的で良いのですが、幼児はなんせテキストが読めないという弱点があります。意味の分からん短文を繰り返し聞かせても頭に入らないので、サプリメントとしてフランスの幼児が見る童謡とかお母さんといっしょ的な動画も一緒に見ることにしてます。
これとか↓
これとか↓(ちなみに歌の内容はめっちゃシュールです。とても素面で作成した内容とは思えないところがまたオツなところです)
French colors - Couleurs - Arc en ciel by alain le lait
朝洗濯物を干すときとか通園するときの自転車とかで一緒に聞いたり歌ったりする感じですね。
一人だと恥ずかしいから絶対にフランス語の歌とか歌わないですが、子供と一緒なら何のためらいもなく歌えます。
自分のモチベーションの維持にも役立ちますし、一人でやるのとは違う角度からも学習できるということで、個人的に子育てを兼ての語学学習は非常に良いものだと感じております。
スタートしてまだ1カ月も経ってませんが、音声のインプットは子供の方が俄然強いです。文字が読めないくせにモニョモニョとそれっぽいことを歌ったり話したりするようになってます。
こういう言葉の萌芽をちゃんとキャッチしてあげて一緒に発してあげることで話せるようになればしめたもんですね。
また、経過報告ができればと思います。
それでは。