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プロフェッショナルファームの働き方:スタッフアサイン制について

こんにちは。

今年の有給付与のタイミングで長いこと務めたプロフェッショナルファームからヌルイ事業会社に転職して、2ヶ月くらいの超大型連休を作ろうと考えております。

事業会社に移れば今と大分違う労働環境になるでしょうから、記録としてプロフェッショナルファームの内部からみたあれやこれやを備忘として記事化していこうかと思います。

自分が何年か後に振り返って、そういえばこんな環境だったなぁ、と思うために書いていることでもありますが、事業会社から、あるいは大学院やビジネススクールを卒業してプロフェッショナルファームに入る事を考えている人の参考にもなればいいなと思います。

第1回目は働き方の基本的フレームワークである「スタッフアサイン制」について書こうと思います。

 

スタッフアサイン制とは

スタッフアサイン制とは、プロジェクト毎にメンバーアサイン(割り当て)する制度のことです。一見、それ当たり前じゃね?となりそうですが、プロフェッショナルファームの仕事はピュアにプロジェクト単位で構成されています。

個々のプロジェクトは2週間で終わるような短期のものから、半年以上継続して行われる超長期のものまでクライアントの要望に応じて多岐にわたりますが、基本的には個別に契約を取り付けてサービスの開始時期と終了時期が決められています。

一つのプロジェクトが立ち上がると、サービスの終了時期までの間、手を動かす要員を確保することが、プロジェクトマネージャーにとってまず必要となる訳です。

問題は、その要因をどのように確保するのが効率的か、という点です。

前述の通りプロジェクトはそれぞれ独立しており、期間も(あと難易度も)もまちまちであるため、必要となる人員は非常に流動的になります。

このような状況下で柔軟に対応するために、最下層にいるジュニア・シニアスタッフ達の所属を流動化し、人員が入用になった際にアサイン可能な(アベイラブルな)スタッフを割り当てるという構造が必要となるわけです。

具体的には全スタッフの向こう3カ月くらいのアサイン状況が分かるエクセル(アサイン表といいます)が共有されており、新規のプロジェクトが立ち上がったら、プロジェクトマネージャーが人員の空き状況を確認して、スタッフを確保する、という仕組みです。

オフィスの中も基本フリーアドレス(どこに座っても良い)で、プロジェクトチーム毎に好きな場所で固まってカチャカチャ仕事をする、といった具合です。もちろんプロジェクトにアサインされていないスタッフはオフィスにいなくても全然バレませんので、突然の呼び出しにさえ気を付けていれば何をしててもお咎めなしです。

ディテールには多少の差異があるかもしれないですが、同じ様な収益構造になっているプロフェッショナルファームでは基本的に同じシステムが採用されていると理解しております。

特定の配属部署があり、部署の構成員が固定的な事業会社からプロフェッショナルファームに移ってきた人にとっては、まず最初にカルチャーショックを受ける仕組みなのではないでしょうか。

 

スタッフアサイン制の功罪

さて、このような仕組みが導入されている背景としては、個々のプロジェクトにより必要となる人員数および期間が非常に流動的にであることは前述した通りです。

効率的な仕組みであり、スタッフも繁忙期を除けば伸び伸びできます。

一方で、アサイン表が共有されているといった点で、人気のあるスタッフとそうでないスタッフが即分かってしまうという側面もあります。

プロジェクトマネージャーも人間です。

一度一緒に案件をやってみて具合の良いスタッフはまた使いたいと思うのは人情ですよね?逆にアサインしたスタッフが虫レベルのクソだった場合、二度と使いたいと思いませんよね?

このようにして、案件を二個、三個とこなしていくうちに、蓄積される評価・信用が非常に見えやすい形で整理されているのがアサイン表な訳です。

ガンガン稼いでるプロマネに気に入られてしまうともう目も当てられませんね。連続アサイン・多重アサインを入れられ馬車馬のごとく働かされることになります。私自身、この典型に嵌ってしまった時期があります。電車で帰るとサボってると言われ、有給を取るために前日徹夜を強いられるというような状況です。

一方で、クソ虫セグメントに陥ってしまうと何が起こるかというと、誰もアサインしてくれなくなるんですよね。せっかく意を決してプロフェッショナルファームに入ったのに誰も仕事をくれない。毎日全体メールの整理とインターネットサーフィンしかやることがなくなるわけです。夢のような生活に聞こえますが、毎日続くととても苦痛です。私の先輩で大きな失敗をしでかしてこのセグメントに陥った人がおりましたが、反省の意を示すために頭を丸めたのに誰も顧みませんでした。

アベりまくりな毎日が一月も続くとなんとか状況を打開しようとオフィス中のごみ箱をキレイにしてましたが、クソ虫以上の存在を示すには至りませんでした。症状が悪化してエレベーターホールでボタン押しをやり始めた時点で人事部付となり、闇の中へ消えて行ってしまいました。

頑張りすぎると案件が入れ食い状態となるので年中繁忙期、逆に使えないと誰も拾ってくれずに年中暇チンとなって発狂しちゃうシステム、それがスタッフアサイン制ということですね。

 とはいえ、正社員はなかなか首にならないという日本の労働環境を逆手にとって居座る胆力があれば天国の様な環境かもしれません。

 それではまた。