社会の窓

興味あること・書く可能性あること: 暗号通貨・不動産・リノベーション・為替・会計・英語・コーヒー・ワイン・発酵・プログラミング

スペシャリティコーヒーをちゃんと定義しよう

お題「コーヒー」

 2017年の話になってしまいますが、日本で初めてのスペシャルティコーヒーが沖縄県国頭村安田から誕生したという話を先日知りました。

www.okinawatimes.co.jp

沖縄に移住し、パパイヤ栽培を営んでいた徳田さんご夫妻が、10年前からコーヒー栽培に取り組み始め、2017年についにスペシャルティコーヒーとして認められたという事です。

情報が少々古い!という点はさておき、国内で新しく誕生したというニュースを目の当たりにし、改めてスペシャルティコーヒーとはなんなのか?という疑問がフツフツ沸いて来ました。

スペシャルティコーヒーってそもそも何?

スペシャルティコーヒーというと、知らない人はいないというくらい巷ではよく聞く言葉となっていますが、とにかく味も素晴らしく生産者から消費者までみんなハッピーでスペシャルなコーヒなんだろうな、ということ以上の事を知っている、具体的な定義について語れる人というのは案外少ないのではないでしょうか。

特に消費者からすると、最も気になるポイントは豆の品質および味に関してであり、そこを知らずして「やっぱりコーヒーってのはスペシャルティですよねぇ」っていうのは少し恰好が付かないですよね。

ということで原文サイトに当たって調べて見ました。今日はそこの点について整理してみたいと思います。

SCAとスペシャルティコーヒー認定の枠組み

まず、認定される、という事はどういう事でしょうか?一体誰に、どういう基準で?と、改めて考えると「?」がたくさん浮かんできますね。

スペシャルティコーヒーという概念自体は、1978年に行われたフランスのコーヒー国際議会において、当時大量生産品が市場を席巻していた中、「特別な地理的環境が生み出す微小気候(マイクロクライメット)がもたらす、特徴的な風味特性を持った新しいカテゴリーのコーヒー」が提唱されたことに端を発する様です。

現在のコーヒー実務においてはSCA (Speciality coffee association) という団体の設ける種々の評価基準をクリアしたコーヒーに付される最高グレードとなります。

それでは具体的にどのような基準で選ばれているのでしょうか。評価のフレームワークとしては、生豆の評価から品質評価、また評価方法のベストプラクティスまで広範な分野について細かく纏められております。

sca.coffee

sca.coffee

 

品質評価の枠組み

SCAの品質審査基準(Cupping protocolという形で纏められております)では、Aroma、 Flavor、 Aftertaste、 Acidity、Body、Balance、Uniformity、Clean Cup、Sweetness、および Overallの10項目に分かれて、各項目について点数をつけ(最高10点)、合計が80点以上となる豆についてをスペシャルティグレードと定義しております。(各評価項目の詳細はこちらをご参照)

この審査基準に従い審査を行う人はLicensed Q Graderと呼ばれるCQI(Coffee Quality Institute)という品質協会からの認定を受けた鑑定士により行われます。

コーヒーの各生産国には概ねCQIの協力機関(ICP : in-country partnerと呼ばれます)が存在しており、通常生産国ではこのICPに在籍しているLicensed Q Graderが審査を行っておりますが、ICPの存在しない国においては、サンプルを近隣国のICPに送りそちらで審査を行うという実務が行われている様です。

冒頭に出てきた安田コーヒーさんが審査を申し込んだ時点では日本国内にICPは存在していなかったため、韓国にて審査が行われた模様です。

ちなみに現在日本国内ではJapan Coffee ExchangeがICP認定を受けている模様です↓

peraichi.com

余談となりますが、CQIにはデータベースHP というものがあり、2010年以降に認定を受けたスペシャルティコーヒーはその審査結果について一般人でも調べることができるようになっております。

気になる人は調べて見ても面白いと思います。

(今回冒頭に出てる安田コーヒーさんの審査結果はこちら。)

色々と書き連ねてみましたが、コーヒー評価はかなり強固な体系が築き上げられていることが垣間見えるかと思います。さすが、世界で最も愛されている嗜好品の一つなだけありますね。

各国のSpecialty coffee association

上述のSCAは、SCAA(Speciality coffee association of America)とSCAE (Speciality coffee association of Europe)が17年1月に統合されて出来た組織となります。また、品質評価の枠組みというのはSCAAが中心となって確立した体系であると理解しております。

Specialty coffee association of XX(XXに国名)という組織は世界各国にあるみたいですが、これらは同一の組織ではなく、それぞれ独立している模様ですね。

そのためかどうか知りませんが、SCAJのHPではスペシャルティコーヒーの定義はSCAJが独自で定義している体で記載されてるようにも読め、一読してもなんだかフワッとした印象で謎なポエムを読んだかの様な後味を覚えます。

あと、色々な会社がスペシャルティコーヒーを独自定義していたりもしますが、これもスペシャルティコーヒーの概念を掴みどころがないものにしていると個人的には思います。

スペシャルティコーヒーの定義を他人にドヤるときはちゃんとSCA本家の定義がしっかりとある、ということを念頭に置いてドヤりましょうね。

それではまた。